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ひきこもり・ニート現象とは
ひきこもり・ニートといっても、実は良いひきこもりと悪いひきこもりがあります。
人間にとって、他者との交流は一義的に他者からその人にとって自己を成長させ、利益をもたらす「良いもの」を獲得するために必要なものです。
そう考えると、人間の対人希求性というのは本能的行動なんだと思います。ただし、他者から得られるものがその人にとって常に「良いもの」とは限らないですよね。
「悪いものや有害なもの」ということもあります。
そのため、ふつう人は、そのことを取捨選択しながら対人関係を構造化していくものです。交流分析の創始者であるバーン博士は、人間の交流状況とそこで得られる「もの」との関係について、親交・ゲーム・雑談・活動・儀式および「ひきこもり・ニート」といった交流状況を設定し明確化しています。
それによると、親交の段階では信頼と愛着に裏付けられた率直な触れ合いを通して「良いもの」を得ることができるとしています。
また、ゲームの段階では他者を操作することによって、雑談では無難な話題をめぐる交流によって、活動の段階では主に仕事などを介して、儀式では集団参加や挨拶をすることによって、それぞれ充分な「良いもの」を受けるとはいかないまでも、ある程度の「良いもの」を得ることができます。
それに対して、ひきこもり・ニートの状況では「良いものも悪いものも」得ることができない・・としてバーン博士はもっとも問題視していました。
でも、あなただって過去に些細な事で母親と言い合いになって怒って自室にこもってしまうといった体験はなかったでしょうか?
この状況は基本的に「ひきこもり・ニート状態」にあると言えます。でも数時間たてば、あなたは落ち着きを取り戻し、再びリビングに戻って来たとします。ひきこもり状態の解消です。
このような短期間のひきこもり状態は、極めて健全な行動ですので、いわば正常反応あるいは健全な防衛機制としてのひきこもり状態といえます。
問題になる「ひきこもり・ニート」は、例えば数年にわたって自室にこもる行為を続けた場合になります。長期間にわたるひきこもり状態によってもたらされる「外界との接触」の欠如は、その人個人だけでなく、家族にとってもまた周辺の地域の人々においても厄介な事柄になります。
「ひきこもり・ニート」の問題とは、ひきこもり状態それ自体だけにあるのではなく、慢性化や固定化することなんですね。
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